早産児に起こりやすい
病気・トラブル

呼吸器

呼吸窮迫症候群

こきゅうきゅうはくしょうこうぐん

早産児は、肺を風船のように膨らませるために必要な肺サーファクタントという物質が、まだ十分つくられていないため、呼吸によって空気を十分に取り込めず、呼吸が速くなったり酸素不足でチアノーゼを起こしたりします。
新生児慢性肺疾患

しんせいじまんせいはいしっかん

出生直後などに急性呼吸障害の治療を行った際、酸素や人工換気の影響により肺が傷んだために、その後も肺機能の低下が続いてしまう病気で、気管支肺異形成とも呼ばれます。のどがゼロゼロしたり、かぜをひきやすくなることもあります。ほとんどの場合は、体重が増えて肺が大きくなる3歳ごろまでには治ることが多いです。
無呼吸発作

むこきゅうほっさ

早産児は呼吸中枢が未熟なため、呼吸がときどき止まることがあります。20秒以上呼吸が止まったり、脈が途切れてしまったりしてチアノーゼが起きた状態を無呼吸発作といいます。
ウィルソン・ミキティ症候群

うぃるそん・みきてぃしょうこうぐん

在胎32週未満、1500g未満の早産児・低出生体重児に多い呼吸障害で、新生児慢性肺疾患のひとつです。
頻呼吸や胸を上下させる陥没呼吸、チアノーゼを起こし、無呼吸発作を起こすこともあり、高濃度酸素療法や人工呼吸器を使った治療が必要になります。肺の発育とともに自然と治っていくケースも多いですが、かぜなどの感染症にかかると重症化しやすい傾向があります。
胎便吸引症候群

たいべんきゅういんしょうこうぐん

羊水の中に赤ちゃんが胎便を出してしまい、それを肺の中に吸い込んだために呼吸障害を起こす病気です。酸素吸入や人工呼吸器で治療し、通常は1週間前後で治ります。まれに気胸や肺炎など重症化することもあります。

内臓・血管

未熟児貧血

みじゅくじひんけつ

赤ちゃんは妊娠後期にママから血をつくるための鉄分をもらいます。
しかし、早く生まれてきてしまうと、赤ちゃんの体内に貯蔵されている鉄が少なく、血を十分につくれないため貧血になりやすいのです。
また、1500g以下で生まれた赤ちゃんは造血機能が未熟なため、貧血になることがあります。
黄疸

おうだん

早産児は肝機能が未熟です。そのため、不要になった赤血球が分解されてできる物質「ビリルビン」を分解することができず、血中濃度が上昇することがあります。このとき皮膚や粘膜が黄色く見えることを黄疸といいます。
動脈管開存

どうみゃくかんかいぞん

お腹の中にいるときの赤ちゃんの肺は、まだ呼吸のために使われていない状態にあります。このため、肺に流れ込む血流の一部は、動脈と肺動脈をつないでいる動脈管という管でバイパスされています。
出生後、動脈管は自然に閉じますが、早産児はまだ動脈管を閉じる準備ができていないため、開きっぱなしになってしまうことがあります。
すると出生後、心臓に余計な負担がかかって心不全になったり、肺に血液が流れ込み、呼吸が苦しい状態になってしまうことがあります。
自然に閉じないときは手術をする場合もあります。
早産児代謝性骨疾患
(未熟児くる病)

そうざんじたいしゃせいこつしっかん
(みじゅくじくるびょう)

胎内でママから十分な量のカルシウムやリン、ビタミンDなどの栄養素を受け取ることができなかったために、骨の成長が妨げられる病気です。
鼠径ヘルニア

そけいへるにあ

腹筋が弱いために、腸が足の付け根の皮膚の下にはみだしてしまう病気です。
繰り返しやすい病気ですが、成長して腹筋が強くなるに従い、自然に治ることも多くあります。
感染症

かんせんしょう

赤ちゃん、特に早産児は免疫機能が弱いため、感染症には注意が必要です。感染症の中でも、細菌感染による「敗血症」はきわめて危険が高い病気です。
また、細菌性の髄膜炎も後遺症を残すことがあります。病院内では、感染症の予防にマスクや白衣の着用、手洗いや消毒の徹底を行っています。

脳・神経

低酸素性虚血性脳症

ていさんそせいきょけつせいのうしょう

脳の酸素不足により脳細胞が損傷を受け、障害を起こす病気です。
仮死状態や無呼吸発作、出産時のトラブルなど原因はさまざまです。障害の部位や程度は、脳細胞がどれだけ損傷を受けているかによって異なりますが、けいれんや呼吸障害、発達障害などが多く見られます。低体温療法により障害の程度を軽減できる場合もあります。また、新生児の脳は発達段階なので、ほかの部分の脳細胞がダメージを受けた部位をカバーしていく可能性もあります。
脳室内出血

のうしつないしゅっけつ

在胎32週ごろまでの赤ちゃんは、脳室にたくさんの血管が集まり、また、血管の壁が薄いため、少しの酸素不足や血圧の変化で脳内出血を起こしやすくなっています。
脳質周囲白質軟化症

のうしつしゅういはくしつなんかしょう

運動神経などが束になって存在している脳の白質という部分が壊死を起こす病気です。
在胎32週ごろまでは白質の周りに血管が少ないため、出産のストレスや酸素不足、血圧の変動により、血液が十分に供給されなくなることがあります。特に脳室の周囲にある白質には手足の運動に関係する神経が存在しているため、壊死した部位によって、手足の麻痺など運動障害が残ることがあります。

感覚器官

未熟児網膜症

みじゅくじもうまくしょう

早産児は網膜の血管が未発達ですが、成長するにつれて正常な状態となります。ただし、網膜の血管の成長途中に貧血や酸素不足などになると、血管の異常増殖を招き「未熟児網膜症」になることがあります。
難聴

なんちょう

耳が聞こえにくくなる状態で、外耳道や鼓膜など音が伝わる器官に障害がある「伝音性難聴」と、神経や脳の経路に障害がある「感音性難聴」があります。

参考資料

  1. 仁志田博司 編:新生児学入門 第5版.医学書院. 2018
  2. 日本新生児成育医学会 編:新生児学テキスト. メディカ出版. 2018
  3. 母子衛生研究会 編:小さく生まれた赤ちゃん 第3版. 母子保健事業団. 2021
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