小さく生まれた赤ちゃんとNICU
~入院時から退院後までのサポート~

新生児集中治療室(NICU:Neonatal Intensive Care Unit)を持つ病院は日本全国で352施設あります1)。NICUは早産児が元気に大きく育つための治療とサポートをする場所です。ここでは、NICUに入る早産児のご家族に向けて、NICUへの入院から退院、NICU退院後のサポートについて紹介していきます。

出典

  1. 厚生労働省:令和2(2020)年医療施設調査・病院報告の概況
    (https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/20/) [2022年7月28日確認]

NICUに入る赤ちゃんのご家族の方に

NICUで家族にできること

新生児集中治療室(NICU:Neonatal Intensive Care Unit)は、早産や低体重で生まれた赤ちゃん、呼吸に助けが必要な赤ちゃん、心臓などに生まれつきのご病気がある赤ちゃんたちが治療を受けている場所です。赤ちゃんを専門に治療する医師や看護師さんたちが、24時間体制で治療やご家族の応援をしています。
でも、赤ちゃんの未来を守れるのは、医療者のチカラだけではありません。お母さんやお父さん、ご家族が赤ちゃんと触れ合う家族面会の時間は、赤ちゃんの状態が快方に向かうことや発達を促すことにつながることがあります。NICUの家族面会は<お見舞い>ではなく、<治療>や<発達応援>と考えています。ご家族と医療者で一緒に赤ちゃんの応援をしていけたらと願っています。

NICUって
こんなところ

早産は誰にでも起こりうる

妊娠前や妊娠中にお母さんやお父さんが<何かをしたから>とか<何かをしなかったから>早産になるわけではありません。1年間で生まれてくる赤ちゃんのうち、早産児(妊娠期間37週未満で出生した赤ちゃん)の割合は、2020年までの5年間は5.5~5.7%で推移しています2)。20人に1人以上が早産で生まれていることになるので、早産はどの家族にも起こりうることです。早産になった理由を思い悩んで時間を止めてしまうと、生まれてきた赤ちゃんの日々の成長に気づけないかもしれません。赤ちゃんは日々成長していきます。最初はNICUに来るのが辛いかもしれませんが、赤ちゃんと一緒にいるうちに、赤ちゃんが生まれてくれたからこその喜びや楽しさに気づける日もくると思えます。
NICUでともに時間を過ごす病院スタッフや心理カウンセラーに、苦楽を気兼ねなく伝えてくださればと願っています。

出典

  1. 政府統計の総合窓口(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/
    厚生労働省:令和2年 人口動態調査 人口動態統計 上巻 出生 第4.24表 妊娠期間(4週区分・早期-正期-過期再掲)別にみた年次別出生数及び百分率(2022年2月25日公開)

NICUの退院に向けて

NICUからの退院

どんなに経過が良好であっても、本来出産が予定されていた時期まではNICUに入院することになります。予定日プラスマイナス1か月ほどで退院できる子が多いです。ただし、早産に伴う何らかの合併症などで治療が続く場合には、入院が継続することもあります。
お口からの哺乳が負担になる場合には、退院後も経管栄養(チューブなどで胃や腸に直接栄養を注入すること)を続けることがあります。新生児慢性肺疾患になれば、在宅酸素療法(自宅で酸素吸入を行う治療法)を必要とすることもあります。退院後も医療的ケアが必要な場合には、ご家族に在宅医療に慣れていただき、地域で応援してくれる医療者とともにお家での環境や体制を整えてから退院になります。

退院後のケアは病院スタッフに相談を

退院後のご家庭での医療的ケアは、お母さんやお父さんにとって心身の負荷になると思われます。在宅医療が過剰な負荷になって、お母さんやお父さんが心身ともに疲労困憊になってしまうと、お子さんの医療的ケアのみならず、育児やご家族の生活にも支障が出てしまうかもしれません。
最近では小児の訪問診療を行ってくれる医療者が増えてきています。訪問看護師さんや訪問医さんは、ご家庭で行う医療的ケアや地域での生活を一緒に考え、相談に乗ってくれます。医療的ケアが多いお子さんには、レスパイト入院という在宅で医療的ケアを受けている方やそのご家族、介護をする人の休養を目的とした短期入院を行っている病院もあります。ご家族だけで頑張ろうと思い込まず、辛さを感じる場合には病院スタッフにご相談ください。

NICU退院後のフォロー

早産児の成長と発達

NICUでは早産の赤ちゃんが生きていくのを支えますが、早産をなかったことにできるわけではありません。早産児でも人それぞれで、体の成長や心の発達に差異を生じることがあります。NICU退院後の経過の中ではっきりしてくる課題もあります。お子さんそれぞれの成長や発達をご家族と一緒に見守ってくれる医療者はいます。体格が小さくても3歳までに自然と大きくなる子もたくさんいます。3歳以降で極端に身長が小さければ成長ホルモンの投与をお勧めすることもあります3)
1000g未満で生まれた赤ちゃんの23.7%、1000~1500gで生まれた赤ちゃんの10.5%に得意なことと苦手なことなどがアンバランスな、いわゆる発達障害と呼ばれる特性があると報告されています4)。その子の発達の特性をご家族と支援者で理解して、得意を伸ばして苦手をサポートできたらと願っています。

出典

  1. 田中敏章 他:日児誌. 111, 641-646, 2007
    (http://jspe.umin.jp/medical/files/guide11104641.pdf) [2022年7月27日確認]
  2. みずほ情報総研株式会社:小さく産まれた赤ちゃんへの保健指導のあり方に関する調査研究会:低出生体重児保健指導マニュアル. 平成31年3月
    (https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000592914.pdf) [2022年7月27日確認]

成長段階でのフォロー

極低出生体重児は、少なくとも小学3年生ぐらいまでは成長や発達に関して定期的なフォローアップ健診が推奨されています5)。退院後のフォローアップとして、1歳半、3歳、6歳、9歳に発達検査や知能検査などを療育センターなどと連携して行っています。発達検査などの結果からお子さんの発達の特性をご家族と支援者で確認して、生活や教育の応援の仕方を考えています。
子どもたちは遊びを通じてより発達していくこともあります。理学療法士さんや作業療法士さんは、発達支援として体の動かし方などをともに考えてくれたり、ご家庭での遊ばせ方や生活へのヒントを助言してくれたりすることもあります。

出典

  1. ハイリスク児フォローアップ研究会 編:改訂第2版 ハイリスク児のフォローアップマニュアル 小さく生まれた子どもたちへの支援.株式会社メジカルビュー社.2021

NICUは闘病の場所でなく、育児の場所

早産児とご家族を応援しています

NICUで働くスタッフが応援したいのは赤ちゃんだけではありません。赤ちゃんとともに生きるご家族を支援したいと願っています。不安なことがあればNICUスタッフにご相談ください。
病院や療育センターには、医師や看護師さん以外にも、赤ちゃんとご家族を応援しているさまざまな職種のスタッフがいます。たとえば、赤ちゃんの発達を応援している理学療法士さんや作業療法士さん、お子さんの成長やご家族の不安に心寄せたい臨床心理士さん、お薬の相談に乗ってくれる薬剤師さん、医療機器の使い方を考えてくれる臨床工学士さん、医療制度や福祉制度、退院後の生活について支援をするソーシャルワーカーさん、地域での生活や子育てを支援する保健師さんもいます。母乳育児への不安を感じるお母さんにはラクテーション・コンサルタントという母乳育児支援の資格を持つ医療者がいるNICUもあります。
NICUにはお子さんだけでなく、お子さんが加わるご家族全体を応援したいと願っている医療者がいます。話しかけやすい人に相談して構いませんので、不安や辛いことがあれば、ご家族で抱え込まずに病院スタッフに相談してくださることを願っています。

監修:神奈川県立こども医療センター
周産期医療センター長(新生児科部長)
    豊島 勝昭 先生

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